母の故郷へ と 一人飯
何年ぶりだろう
所用があり母の故郷へ行った。
母は10年以上前にがんで亡くなり
以降、母の実家に定期的に行く機会もなくなってしまった。
最寄り駅に降り立ったら街並みが一変しており軽くパニック。
さらにバスで30分、母の実家は周りを畑に囲まれた「のどか」なところ。
今は精神的につらい状態ということもあるが
感傷的になり母のことを思ってしまう。
とても真面目で努力家で強く優しい心をもった母だった。
社会に出て働くことを誇りにしており
亡くなる直前まで働いていた。
今では珍しくなくなった共働き家庭だが
母の時代の共働きは周りの認知も無く
また父の協力も無く大変だったと想像できる。
天国の母に今の私の状況はどのように映っているのだろう?
悲しんでいるかもしれない、
あなたらしいと温かい気持ちで見守ってくれているかもしれない。
私の心の中のようなどんよりとした曇り空の下
秋風に吹かれてそんなことを考えていた。
夜は妻と娘が習い事終わりに友人と外食するため
一人飯が決まっている。
簡単に済まそう。
5分で完成。
毎日仕事に家事に忙しい母の料理は
出来合いのお惣菜が並ぶこともあったけど
私たちのことを思ってできる限り手料理を作ってくれていた。
今更気づく愚か者の私であるが
ものすごく感謝して食べなければいけない食事だったのだ。
今更ながらでごめん
「お母さん、本当にありがとう」
さはら